犬アレルギーがあっても犬を飼いたいんです!
犬は好き。でも犬が近くにくるとクシャミや鼻水がでる人は犬アレルギーかもしれません。何年も犬を飼っていても、突然、犬アレルギーを発症することもあるんです。犬が大好きなのに、その犬が原因で犬アレルギーの症状に悩んでいる方が意外に多いようです。花粉症のように、去年までは大丈夫だったのに今年から突然発症することがあるように、犬アレルギーも突然やってくるかもしれません。
最初から家族に犬アレルギーがあれば飼うことを考慮できますが、もうすでに愛犬が家族の一員なのに、突然犬アレルギーを発症することはとってもつらいことです。
そんなとき、かわいい愛犬を手放すことなんてできません。自分のアレルギーをがまんしても犬との生活を優先する人も多いそうです。そこで、犬アレルギーを発症してしまったけれどもどうしても犬との生活を諦めることができない方のために、少しでも症状を軽くするためにどうすればいいのかをご紹介します。
花粉症のヒトが花粉に対してアレルギー症状があるように、犬アレルギーの人は犬に触ったり、犬に近寄ることで眼のかゆみ、流涙、クシャミ、鼻水、咳、かゆみなどの症状が出ることをいいます。症状は個人差があり、かゆみやクシャミなどの軽症から命にかかわる重症まで人それぞれです。
原因は犬の毛と思われていますが、犬の毛よりも犬のフケに反応することが多いのです。フケは古い細胞や垢(あか)で犬は通常21日で細胞が生まれ変わり、古い細胞が乾燥してフケとなって犬の皮膚からはがれ落ち、目に見えないハウスダストとして長時間空気中に舞います。それを口から体内に入ったときにアレルギー反応を起こしているのです。
人が発症する犬アレルギーのアレルゲンは犬のフケに含まれるリポカリン(Can f 1)というタンパク質。リポカリン(Can f 1)は犬の毛、フケ、唾液中に多く存在しています。このアレルゲンはとっても小さくて軽いので、空気中にハウスダストとして舞っています。犬を飼っている人が洋服などに付着したまま外出することで、犬がいない場所でもこのアレルゲンが運ばれて検出されることがあります。犬アレルギー反応ある人が、犬を飼っていなくても症状がでることがあるのは、運ばれてきたアレルゲンを吸い込んでしまっているからなのです。
花粉症なら春から秋にかけて薬を飲み、マスクを付けてしっかりと対策をすればいいし、食物アレルギーの人はそれを摂取しなければアレルギー反応は起きません。でも、かわいい愛犬がアレルゲンだからといって、遠ざけるために庭で飼ったり手放したりはできないですね。
では、どのように対策すればよいのでしょうか?
アレルギーの症状は個体差があるので、クシャミやかゆみなどの軽い症状から、吐き気やめまい、重症になるとアナフィラキシーショックをおこして、呼吸困難に陥ることもあります。アレルギーに対する特効薬はなく、病院でも症状を軽減する対症療法がメインです。犬アレルギーがあるということは他のアレルギーにも反応しているひとが多いので総合的に免疫力をつける生活習慣をこころがけましょう。
犬アレルギーと診断されたら、定期的に診察を受けてアレルギー治療を続けることが必要です。犬との生活を優先するには必要なことです。
アレルゲンである犬を毎日ブラッシングすることと、週に1回のシャンプーすることが症状を軽くする対策方法です。
ブラッシングで、抜け毛(死毛)をしっかり取り除きましょう。犬の毛は換毛期(年2回)は大量に抜け変わりますが、人と同じように毎日少しずつ生え変わっています。その抜け毛を取り除かずにそのままにしていると、犬が移動するスペースすべてに毛とフケが落ちることで、アレルゲンが家中に拡散されていることになります。ですから、できれば屋外か、すばやく掃除ができるお風呂場などで毎日ブラッシングをすることでアレルゲンの拡散を防ぐことができます。
しかし、アレルギーのある人がブラッシングをすることは症状を悪化させて危険です。そんなときは家族でアレルギーのない人に協力してもらいましょう。ひとり暮らしの人は、しっかりとマスクと手袋をして吸い込まないように予防してからブラッシングをしましょう。
シャンプーすることでアレルゲンである犬の毛やフケを洗い落とせます。しかし、飼い主のために週に何度もシャンプーをすることは、犬にとっては必要な皮脂がなくなって乾燥しすぎてしまいます。人の犬アレルギーのために犬が病気になっては本末転倒です。やりすぎは禁物です!!何度もシャンプーする場合は、犬の肌にやさしい低刺激のものを選びましょう。
しっかりとアレルゲンである犬の毛やフケを取り除くためには、とにかく毎日、掃除をすることです。掃除機をかけるだけでなく、拭き掃除をすることが効果的です。掃除機を一日何度も使用することは大変ですが、コロコロやモップなどを上手に使って、気になったら掃除する習慣をつけましょう。大変なことですが、愛犬といっしょに暮らすためにはがんばりましょう。
カーペットやラグをやめる
毛足の長いカーペットやラグは、犬の抜け毛がからまり、フケが奥に入ったままの状態になります。掃除機をかけるだけでは、完全に毛やフケを吸い取ることはできません。そこに、ダニが大量発生してアレルギーの症状がひどくなることがあります。
お掃除が簡単なフローリングがおすすめですが、犬にとっては滑るデメリットがあるため、ジョイントマットなどの弾力性があって、犬の抜け毛やフケがからまない、簡単に掃除ができるマットを利用するとよいでしょう。
布製品はマメに洗濯する
布製の家具(カーテン、クッション、ラグ)などは、ハウスダストを吸収してしまいます。空中に漂った犬の毛やフケは、床だけでなく布製のソファーやカーテンなどにもくっついています。洗濯することでアレルゲンを取り除くことができるのです。布製のソファーには織り目がつまっている表面が滑らかで毛がからみにくいカバーをすることも効果的です。
壁や窓も拭き掃除
犬の毛やフケは、床や家具の上など平面に溜まるイメージがあると思いますが、壁や窓ガラスのような垂直面にも付着します。ここもしっかりとお掃除しましょう。
空気清浄機をフル回転
ハウスダストとして犬のフケや毛が空中を漂っているのをこまめに換気することで症状が軽減されます。消臭効果や除菌効果などの機能付きの空気清浄機を上手く利用して、浮遊しているアレルゲンを取り除きましょう。
犬アレルギーの人は、犬と離れて暮らすことが一番ですが、今まで一緒に生活をしていたのに急に別々のスペースで暮らすということはなかなかできないですね。しかし、犬といっしょに寝るということは、アレルゲンといっしょに寝ているということになり、どうしてもアレルギー症状がでてしまいます。
アレルゲンを含んだホコリやハウスダストは、人が寝静まって空気の流れが止まってから約9時間で床に落ちてきます。寝起きに咳き込みが激しかったりするのは、ちょうど寝ているベッド付近にアレルゲンをたっぷりと含んだホコリやハウスダストが落ちてくる時間帯で、相当量のアレルゲンを吸い込んでしまうことから激しい症状がでるのです。布団はダニの温床となっていることから、ダニの栄養分となる犬の毛やフケを近づけないことで、アレルギー症状がかなり軽減されます。
寝室を別にすることで、淋しい思いをさせるかもしれませんが、その分、起きている間はしっかりと愛情を持って接して、いっしょには寝ない生活に慣れさせていくのが健康でいつまでも暮らすためには必要なのではないでしょうか。
子犬のころから服に慣れているのなら、服を着せることも有効です。服は慣れていないと嫌がる犬が多いので、寒さ対策として冬からはじめてみるのもいいですね。
現在、犬アレルギーの特効薬はありません。アレルゲンである犬を近づけないことがいちばんの特効薬ですが、いっしょにいるだけで心や体が癒される存在になっている愛犬は、症状をがまんしてでも飼い続けたいひとが多いのではないでしょうか。
苦しみながら犬と暮らすよりも楽しく犬と暮らすためには、飼い主自身がアレルギー体質の改善をするのもひとつの方法です。私たちの体は、体内に浸入した異物を排出して体を守る仕組みになっています。この仕組みを免疫といいます。アレルギー体質の人はこの免疫力のバランスが乱れていることが多いようです。
免疫力をアップするには、❶適度な運動❷十分な睡眠❸バランスの良い食事が必要です。そしてなにより、愛犬との楽しい時間を過ごすことが免疫力をアップする大きな要因ではないでしょうか。生活習慣を見直すチャンスと考えて、自分自身の体質改善を心がけることもしてみてはいかがでしょうか?