犬がいるから効き目はゆるやかでも
安心で安全な重曹とクエン酸でお掃除
ナチュラルお掃除(ナチュラルクリーニング)とは、重曹やクエン酸など身近にあるものを使う「環境にやさしい」安心で安全な素材を使うお掃除方法のことです。環境にやさしいということは、もちろん犬や人にもやさしいお掃除方法なのです。
お掃除は素早く簡単に済ませたい!と思っている方は多くいらっしゃるでしょう。そのために、強い化学物質の含まれたワックスやクリーナーなら、素早く頑固な汚れを落としてしまいますが、小さなお子さまや室内で犬を飼っていらっしゃる方はご注意ください。
何でも臭ったり舐めて確認する犬や何でも口に入れる子どもが有害物質を含むクリーナーで掃除したフローリング床や家具に触った手や足を舐めてしまうことがあります。犬は裸足ですから、足裏についたワックスを舐めてしまったら、体内に有害物質が入り込み体調を崩したり、アレルギー反応を起こしてしまいます。
だから、食品にも使われる重曹やクエン酸(お酢)で汚れを落とすナチュラルクリーニングなら、犬や小さなお子さまが床の掃除あとを舐めても安心、安全ですね。
ここでは、汚れだけでなく臭いの対策にも役に立つ、重曹やクエン酸の性質と使い方をご紹介します。
愛犬の定位置には臭いがこもりがちです。それがソファやカーペットのなど、私たちが生活する場所のことが多いですね。そんなとき、汚れの種類ごとに犬に安心な重曹とクエン酸を上手に使い分わけることで汚れを落とすことができます。
一番気になる汚れは、犬の排泄物。オシッコはアンモニアなどのアルカリ性、ウンチは硫化水素などの酸性。それぞれ中和させることで、汚れや臭いを抑えることができます。
それぞれの、パワーをご紹介いたします。
重曹は、海水や地中から採掘される、人の体にも存在する天然ミネラルの一種で、弱アルカリ性の粉です。
もともとイギリスで胃薬として開発され、ケーキやドーナツに使うベーキングパウダーにも含まれるもので、安心して使用できます。
使い方は、粉をふりかけて使います。重曹は水分を含むと固まりやすいので、湿気をさけた冷暗所で保管しましょう。
1.油のベタベタがとれる(中和)
重曹は油を吸い込み、べとつきを落とします。油や皮脂は酸性なので、アルカリ性の重曹で中和させることで汚れを落としやすくします。
2.汚れをこすりとる(研磨)
市販のクレンザーよりやわらかく、キズがつきにくいのが特徴です。
重曹はやわらかいですが、硬いブラシでこすることでキズをつけてしまいます。重曹を使う時は素材を傷めないよう、やわらかいスポンジやふきんを使いましょう。いったんキズがつくと、そこに汚れがたまってかえって手間が増えることになります。
3.臭いをとる(消臭効果)
重曹はアルカリ性。食品の生ゴミや下駄箱の汗のニオイは酸性なので、臭いの元に置くだけで中性に近づける作用(緩衝作用)があります。
重曹は、クサい臭いそのものを消す働きがあります。
重曹を使用する時の注意
生木やアルミニウムなどは、変色したり黒ずむことがあるので使用はできません。また、漆器やクリスタル製品なども表面にキズがつきやすいので使用はやめましょう。
クエン酸は、レモンや梅干しに含まれ、酸っぱさのもとになっている成分です。重曹のアルカリ性の反対の性質を持つ酸性です。顆粒のクエン酸は薬局で購入できます。わざわざ購入しなくても、ご家庭にある酢で代用できます。その場合、穀物酢や果実酢などの食用酢を選んでください。すし酢やポン酢などの調味酢では代用できません。
1.水まわりの汚れを落とす(中和)
お風呂場などの水まわりの汚れは、水道水のミネラル分が固まった汚れです。この汚れはアルカリ性なので酸性のクエン酸で中和して落とします。
2.リンス仕上げ(中和)
水洗いができない場所をアルカリ性の重曹や石けんで掃除した後、クエン酸水をスプレーして拭きとって中和させることで、重曹のざらつきなどが落ち、水ですすいだようにすっきりと仕上げるリンスの効果があります。
3.嫌な臭いを抑える(消臭作用)
雑菌の繁殖を抑えることで臭いの拡大を防ぎます。尿などのアンモニア臭はアルカリ性なので酸性のクエン酸が有効です。
クエン酸を使用する時の注意
鉄に使うとさびてしまいます。テラコッタやセメント、大理石なども変色や傷みの原因となります。
また、市販の塩素系洗剤や漂白剤などと混ぜると有毒ガスが発生するので併用は厳禁。
重曹にクエン酸を加えると反応して発泡します。この泡を利用することで、排水口の汚れといやな臭いを抑えることができます。そのとき、泡立ったら栓をしましょう。より効果的に泡の力が発揮されます。
ふだん手洗いに使う石けんは重曹と同じ弱アルカリ性です。水に溶けにくい油汚れを包み込んで溶けやすくするパワーがあります。泡立てた石けんと重曹をあわせることで、汚れを落とす効果がアップします。よく泡立てて使うことがポイントです。
トイレのしつけをきちんとできていることは基本ですが、体調の悪い時や興奮してオシッコを漏らしてしまった時に中和作用でお掃除する方法を覚えておくと役に立ちます。
重曹、クエン酸を使ったナチュラルお掃除で、犬も人にもやさしいお掃除を心がけましょう。
◉オシッコ
カーペットやソファなど布製品についてしまったオシッコはアルカリ性。中和させるためにクエン酸やお酢を水で薄めたものをスプレーすることで、臭いが中和されます。
◉ウンチ
ウンチは酸性。取り除いても残っていたら、水で濡らした布によく泡立てた石けんと重曹をつけ、汚れた部分をたたくようにして落とします。素材によっては変色や傷みの原因になる場合があるので事前に目立たない部分で試しましょう。
毎日使うトイレやゲージ、キャリアバッグなどのお掃除にも安全な重曹やクエン酸を使うと安心ですね。
水洗いして日光で殺菌するのがベストですが、水洗いできないときや梅雨時など臭いが気になるときは、クエン酸を水で薄めてスプレーして中和させることができます。
薬品系の洗剤には即効性があるけれども安全面が心配な方は、愛犬がいつまで健康で長生きできるように毎日のお掃除に重曹やクエン酸のナチュラルお掃除を心がけたいものです。
犬は本来キレイ好きな動物です。自分の居場所が汚れるのを嫌い、排便は必ず他の場所をさがします。一度排便したらそこをトイレと決めてしまう習性ですから、しつけをしっかりとしなければいけません。
しかし、うれションや体調が悪いとき、高齢犬になるとどうしても決められたトイレではできないこともあります。そんなとき、強い化学物質の含まれたクリーナーや消臭剤を使うと強力ですが、なんでも舐めて確認する犬や小さなお子さまには危険です。
犬がいるからナチュラルクリーニングならその場所を舐めたり、上を歩いた足裏を舐めても安心できますね。犬にやさしいお掃除をすることで、大切な愛犬といつまでも健康のまま、安心安全で快適に暮らせますね。