愛犬が足を引きずったり、
かばったりして歩いているときは
隠れた病気かも!!
「昨日から足が痛いの、しびれるの〜」と言ってくれればスグに病院に連れて行けるのですが、それが言えない愛犬ですから、足を引きずって歩いていたら私たちが気づいて対処してあげなければいけません。
外傷があれば足そのものの病気やケガと分かりやすいですが、外傷がない場合は筋肉、神経、背骨などの異常や内臓など足以外の病気からくる足の痛みかもしれません。
そのままにしていると、痛い足をかばって歩くことによって反対側の足に大きな負担がかかり、大丈夫な足も悪くなるケースがあります。
愛犬の歩き方がおかしい場合は、何らかの原因があるはずです。
毎日一緒に生活をしている中で「あれ?歩き方がおかしい!」っと思ったら、スグに病院に連れて行きましょう。
病気やケガは軽い症状から治療や予防することで、愛犬にも私たちにとって治療期間や費用の負担が軽くて済みます。
犬がいつもと違う歩き方で心配な病気をまとめてみました。
犬の前立腺腫瘍(ぜんりつせんしゅよう)は、老犬のオス犬の前立腺にできる腫瘍です。この腫瘍のほとんどがガン(悪性腫瘍)であることが多く、残念ながら発見されたときは手遅れということが多い病気です。
症状は、オシッコが出にくくなり、血が混ざることもあります。また、進行していくと嘔吐や発熱、腫瘍が腰やおなかまでに広がり痛みを伴うために、後ろ足の歩幅が小さくなって足を引きずるなどの症状が見られます。
犬の前立腺腫瘍は、発見したときはすでに全身に転移している場合が多く、残念ながら有効な治療法はありません。
おかしいな?とおもったら早めに病院につれてきましょう。
犬の前十字靭帯断裂(ぜんじゅうじじんたいだんれつ)とは、大腿骨(太ももの骨)と頸椎(すねの骨)をつないでいる前十字靱帯が切れてしまう病気です。事故や激しい運動によって急激に力が加わることが多いですが、高齢犬は靱帯が弱くなってくるので、少しジャンプしたり走ったりするだけでも切れてしまうことがあります。また、肥満による股関節への負担の増加が原因となることもあります。
症状は、足を引きずったり、後ろ足を上げたまま歩くなどの症状と、立ったり座ったりの動作がつらそうになります。
治療法は、軽い損傷や小型犬であれば安静にしたり抗炎症薬を飲むなどして炎症を抑える方法がありますが、中型・大型犬は、やはり外科手術によって元通りに回復させる方法がベストでしょう。
予防方法は、まず肥満にしないということです。犬のヒザは人と違って、常に曲がった状態にあります。ですから肥満犬になればヒザの十字靱帯には大きな負担がかかってしまいます。
日ごろから、激しい運動はできるだけ避けて、食事管理をしっかり行なって肥満にさせないように心がけましょう。
また、片方の靱帯が老化や弱くなって切れてしまった場合は、反対側の靱帯が同じように切れる場合が多いこともあらかじめ理解しておいてください。
そして、フローリングなどの硬くて滑りやすい床は、日常の生活をするだけでもヒザに負担がかかります。そんな場合は、厚みのあるやさしいクッションのあるコルクマットを敷いてあげるといいですね。
【犬の前十字靱帯になりやすい犬種】ダックスフンド、ゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリーバー、ロットワイラーなど
犬の膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)とは、犬のヒザにあるお皿(膝蓋骨)が何らかの原因でずれる(脱臼)病気です。それに付いている靱帯も一緒に動かせなくなることで、後ろ足が吊っている状態で歩くことになります。
膝蓋骨脱臼になる原因は、先天性のものは小型犬に多く、後天性のものは打撲や高いところからの落下などによる外傷といわれています。
症状は、進行によって4段階のグレードに分けられています。進行の程度によって治療法もかわります。
まだ軽症だからとそのままにしておくと、脱臼した側の足をかばって反対側のヒザに負担をかけてあるきます。そうすると両足が脱臼した状態となり歩けなくなることもあります。
犬の膝蓋骨脱臼と診断されたら、進行しないようにすることが大切なことです。そのために、床がフローリングの場合は、絨毯やコルクマットなどヒザへの負担が少ないものを選びましょう。そして、ソファーなどの高い所からの飛び下りをさせないように注意しましょう。
【犬の膝蓋骨脱臼にかかりやすい犬種】トイ・プードル、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、チワワ、マルチーズなどの小型犬

散歩の時や遊んでいる時、片足を上げてスキップして歩いたり、足をかばって引きずるように歩いていたら『膝蓋骨脱臼』かもしれません。
原因や症状など予防対策を紹介しています。
犬の椎間板(ついかんばん)ヘルニアとは、犬の首や胸、腰部を支える脊椎の、特にクッションの役割をする椎間板への負担が大きくなり損傷する病気です。損傷によって脊髄や脊髄からでている神経を圧迫し、これが後ろ足の麻痺や痛みとしてあらわれます。
原因は、激しい運動や肥満、骨の老化が原因です。
軟骨異栄養症性犬種と呼ばれる犬種はこの病気を発症しやすいので、全速力で階段の上り下りやジャンプして体をねじったりする激しい運動はなるべく控えるようにしましょう。
また、肥満による腰への負担を減らすことも大切です。そして、フローリングなどの滑る床の場合は、カーペットやコルクマットなどを敷き、脊椎に負担をかけないようにすることが予防策となります。
【犬の椎間板ヘルニアになりやすい犬種】ミニチュア・ダックス、ペキニーズ、プードル、シーズー、パグ、ビーグルなど

元気がなくよたよた歩いたり、犬の後ろ足が立たなくなったり、抱っこをしようとするとキャンと鳴いたり、唸ったりしたら椎間板ヘルニアかもしれません。
原因や症状など予防策をご紹介しています。
犬の関節リウマチは、手首や足首、肘やヒザなどの関節に起こる関節炎の一種です。
発症すると、関節がこわばって痛みを伴います。1カ所以上の関節に左右対称の腫れがあらわれたり、発熱や食欲の低下、足を引きずるなどの症状が見られたら関節リウマチかもしれません。
原因は、はっきりとしていませんが、自己免疫機能の異常によって起こると言われています。
犬の関節リウマチは進行性の多発性関節炎なのでなので放置しているとどんどん悪化してしまいます。そのため、早期発見・早期治療で少しでも病気の進行を抑えることが重要となります。
【犬の関節リウマチになりやすい犬種】ミニチュア・ダックス、シェトランド・シープドッグ(シェルティ)、シー・ズー、マルチーズ、プードルなど
犬のレッグ・ペルテス病とは、大腿骨の先端(大腿骨頭)への血液供給が障害される結果、大腿骨頭(だいたいこっとう:太ももの骨の、骨盤と連結している部分)への血行が阻害され、骨頭が壊死してしまいます。大腿骨頭はやがて骨折し、股関節の硬直や疼痛が永続的に現れるようになる股関節の病気です。
原因は不明ですが、遺伝が関連し成長期の小型犬に多いと言われています。
犬のレッグ・ペルテス病は、予防が難しい病気なので、成長期の子犬が後ろ足を引きずったり、痛い足をかばって歩くなどの症状が見られたらスグに病院へ連れていきましょう。
【犬のレッグ・ペルテス病になりやすい犬種】ポメラニアン、ペキニーズ、プードル、ミニチュア・ピンシャー、パグ、ダックス、シェルティー、コッカースパニエルなど
犬のライム病とは、マダニに吸血されたときボレリアという細菌が犬の体内に入ることで感染する病気です。しかし、感染した全ての犬に症状がでることはなく、感染した犬のうち約5%が発症するといわれています。マダニは山林や河川敷などの田舎に多いと思われがちですが、公園の草むらにも生息していますから、散歩のとき草むらに入ってマダニに吸血されることもあります。
感染すると関節炎を起こし、腫れたり触ると痛がり足を引きずったりします。
愛犬をマダニの生息しているところへ連れて行く前には、マダニ駆除薬を投与しましょう。もし犬にマダニが付いているのを見つけても、ムリに取っては行けません。無理に取ろうとすると口器だけが皮膚に残り化膿することもあるので、自分で取らないで動物病院で薬剤を使って取り除きましょう。詳しくは犬との生活を快適にするためのノミ・ダニ予防対策をご覧下さい。
犬の骨肉腫は、犬の骨から発生する悪性腫瘍(ガン)です。進行がとても非常に転移しやすい病気です。
犬の骨肉腫は、大型犬〜超大型の犬種の7〜8才の高齢犬の足の骨に多くみられ、激しい痛みのため足を引きずったり、患部の骨が腫れるなどの症状があらわれます。
がん細胞が血管を介して全身に移転することが非常に多いので、腫瘍が発生した足の切断が一番の治療方法となります。飼い主は痛みを和らげるのか、切断するのかと選択に迷いますが、骨肉腫は進行が早いこと、予後は非常に悪いことを考えると、病院できちんと説明を受けて愛犬にとって最善の方法を選びたいですね。
【犬の骨肉腫になりやすい犬種】ゴールデン・レトリーバー、グレート・ピレニーズ、ラブラドール・レトリーバー、シベリアン・ハスキーなどの大型犬
犬の骨折は、犬同士のケンカや交通事故、高い所からの飛び下りなどの外傷によるものと、骨の腫瘍や高齢による骨が弱くなって折れる場合、また、弱い力が同じ場所に加わり続けることで起こる疲労骨折などがあります。
骨折は病気などに比べて、原因がわかりやすいのでスグに病院へ連れて行きましょう。
予防は散歩のときは、リードを使用する、高い所から飛び降りないようにしつけをする、室内犬はソファーから毎日何度も飛び降りる子には、着地点にクッションや床にコルクマットを敷くなど、普段から骨折しないように住環境を整えましょう。また、丈夫な骨を持つ犬に育てるためにバランスの良い食事を与えましょう。

愛犬の骨折は、飼い主が注意することで防げることがあります。子犬の時期や高い所に上るのが好きなやんちゃな愛犬、骨折しやすい犬種を飼っている方は特に気をつけましょう。
犬の股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)とは、太ももの骨と骨盤とを結合する股関節(胴体と足をつなぐ関節)がしっかりとかみ合わず、その状態で歩くことで股関節が炎症する病気です。。
この病気は、体重12キロ以上の大型犬に多く見られるもので、おもに遺伝的要因で発症するといわれています。大型犬だからといってカルシウムを与えすぎるとかえって骨の成長に良くありません。
予防方法は、子犬のときから食事の管理をすることで肥満にさせないことが大切です。また、激しい運動もなるべく避け、バランスの良い食事と適度な運動をこころがけましょう。
【犬の股関節形成不全になりやすい犬種】シェパード、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、バーニーズ・マウンテン、ニューファンドランド、ロット・ワイラー、セント・バーナード、グレート・ピレニーズなどの大型犬

大型犬は、遺伝や肥満などが原因で発症することがあります。大型犬を飼っているご家庭では注意が必要な病気です。
犬も長生きをする時代です。長生きになったために病気やケガになるリスクも当然高くなります。愛犬が病気をするのには原因があるはずです。
滑るフローリングの床はその一番の原因です。一度滑っただけで病気になるのではなく、毎日毎日の足腰の負担が原因である日突然歩けなくなるのです。
飼い主ができる予防対策をしっかりとすることで、ワンちゃんは元気で長生きできるのです。