犬種別にかかりやすい病気まとめ
犬が人間に飼われるきっかけは、その鋭い嗅覚や警戒心や吠え声が、野獣から自分たちの身を守るために人間がそばに置くようになったのが始まりと言われています。その後、狩猟の手助けにも使われるようになり、時代とともに牧羊犬、そり犬、軍用犬と用途をひろげて、それぞれの目的にふさわしく改良されながら、いろいろな純粋種に作り上げられていったのです。
犬種ごとの「スタンダード」と言われている純血種の犬の繁殖には人間が100%関与しています。
その結果、繁殖に使われる犬が限定されてしまうことで、負の特徴を持つ遺伝子が受け継がれてしまう可能性が出てきました。 これがいわゆる「遺伝性疾患」です。
犬種ごとにどのような遺伝的疾患を持っているのかを正しく理解して愛犬を育てていきたいものです。
小型犬種は、複雑な交配の場合が多いので遺伝性疾患も多様化しています。
大型犬は、股関節に異常がいられることが多いので、肥満などで関節に余計な負担がかからないように、日ごろから食事に気をつけて体重管理を行いましょう。また、ダックスフントなどの胴長体型の犬種も肥満によって骨格に負担がかかりますから、肥満にはくれぐれも注意しましょう。
愛犬がどんな遺伝的疾患を持っているのかを正しく理解して、原因となる要因を取り除く対策をしっかりと取っておきたいものです。
それが、いつまでも元気で長生きでいるために私たちが愛犬にできることですから。
9〜10世紀頃、すでにメキシコで飼われていたといわれています。ポケットドッグと呼ばれるように、世界で最小の犬で、理想的な愛玩犬といわれています。
ぱっちりとした大きな目と、アップル・ドームと呼ばれる頭の形が特徴的な犬種。チワワは、頭頂骨の合わせ目(泉門)が開いているので、頭に衝撃を加えることは絶対にしないでください。水頭症やてんかんなどの脳障害、呼吸困難になる気管虚脱、低血糖症などが見られます。肩関節やひざ関節の膝蓋骨脱臼がを起こりやすいので高いところから飛び降りないように注意が必要です。丈夫ですが寒さに弱いのでスムース、ロングコートともに冬は暖房を。
★チワワの理想体重/1~2.5kg(体重6ポンド(約2.7kg)以上はショードッグとして失格) 平均寿命/15~18歳
胴長体型のため、椎間板ヘルニアになりやすく胸部、腰部の背骨の障害を引き起こすことがあります。ソファーの昇り降りに階段やスロープを用意して上したり、クッション性のあるコルクマットなどをしくことで、足腰への負担が軽減されます。
糖尿病や尿路結石も多いとされ、眼球が縮んでいく小眼球症や網膜の異常などの目の病気も多くみられます。体臭が少なく、飼いやすい犬種です。でも甘やかさないように注意しましょう。
★ミニチュアダックスフンドの理想体重/3.5〜 5kg 平均寿命/14〜17歳
膝蓋骨脱臼、進行性網膜萎縮症(PRA)、流涙症、レッグ・ペルテス・パーセス症、外耳炎、てんかんに注意が必要。
デリケートな犬種のため、皮膚病やアレルギーになりやすいとされています。過剰に涙が出る病気の流涙症などの目の病気も多くみられます。
体臭が少なく、抜け毛も少ないので飼いやすい犬種ですが、毛が絡みやすく毛玉ができやすいため毎日のブラッシングと定期的なトリミングが必要です。
★トイ・プードルの理想体重/3~4.5kg前後 平均寿命/12〜13歳
体の小さな犬種に多く見られる低血糖症、膝蓋骨脱臼やおう吐や下痢の症状がよく見られます。頸椎にも異常が生じやすいとされ、神経障害が出る場合があるので注意しましょう。細く長い毛のため、しっかりお手入れしてあげてください。
★ヨークシャー・テリアの理想体重/2〜3.5kg 平均寿命/13〜16歳
眼の病気として若年性白内障、老年性白内障、緑内障、チェリーアイなど。耳の病気として感音難聴。骨や関節の病気として、膝蓋骨脱臼、股関節形成不全、半脊椎症など。他には、皮膚病や軟口蓋過長症、てんかんなどが多く見られます。
賢いのでしつけがしやすく、飼いやすい犬種です。被毛は短く手入れが簡単。「タキシードを着たみたいな」と表現される黒と白の模様のみ。
★ボストン・テリアの理想体重/4.5〜11kg 平均寿命/13〜15歳
比較的遺伝性疾患は少ないとされている犬種ですが、膝蓋骨脱臼や幼犬時の後ろ足の血管の働きに異常が起こり足を痛がる、歩くときに足を引きずるなどの症状が現れる病気のレッグ・パーセル病が見られます。また、遺伝性の聴覚障害や目の異常がみられることもあります。
アレルギー性皮膚炎や膿皮症、指間炎など、皮膚のトラブルに気をつけましょう。ジャック・ラッセル・テリアは抜け毛の多い犬種なので、毛の抜けかわる時期にはブラッシングやシャンプーして常に体を清潔にしておくこと。
体のわりに運動量が多いので、狭い住環境には適さないとされています。 テリアのほとんどの犬種の祖先がイギリス各地で小獣猟やその他の作業に活躍していました。
ですから、今は愛玩用だが気性はなかなかに激しい。しつけをきちんとしないと大変です。
★ジャック・ラッセル・テリアの理想体重/4~7kg(体重は体高5cmにつき1kg) 平均寿命/13〜16歳
ポメラニアンも頭頂骨が開いているため、頭部に衝撃を与えることは禁物です。水頭症、膝蓋骨脱臼、睾丸停滞(オス)、低血糖症、気管虚脱などの病気も見られます。骨が細く骨折しやすい犬種の4位ですから、高いところからの飛び降りには特に注意が必要です。
また、先天的なホルモンの異常から、被毛がまとまって抜けたり皮膚が黒くなること(黒化)があります。雌犬よりも雄犬に発症する傾向が高いです。被毛が絡まりあってひとまとまりの状態になるので、手入れはまめに行いましょう。
★ポメラニアンの理想体重/2〜3kg 平均寿命/12〜16歳
長い頬ヒゲと眉に特徴あるこの犬種は、先天的な異常は比較的少ないですが、肝臓病や膀胱炎、尿石などの泌尿器疾患や生殖器の病気にかかりやすいとされています。
またミニチュア・シュナウザーの特徴的な病気として小胞性皮膚炎(シュナウザー・コモドーム症候群)という皮膚異常があります。
シュナウザーは、ジャイアント・シュナウザー、スタンダード・シュナウザー、ミニチュア・シュナウザーの3タイプに分類されますが、ミニチュア・シュナウザーは単にスタンダードの小型化ではなく、まったくタイプの違う犬種です。足と腹部以外の毛はトリミングしましょう。
★ミニチュア・シュナウザーの理想体重/6~7kg 平均寿命/12〜15歳
先天性の場合と遺伝の場合が多いが、パグ脳炎という病気を発症する個体も多く、その原因は不明で治療方法も未だ発見されていません。
垂れ耳と、特徴的な顔のしわに汚れがたまりやすいため、皮膚を広げて汚れをきれいに拭き取って清潔にしていないと皮膚病になることがあります。目が大きいため、眼球表面に傷が付きやすく、目やにも出やすいのでケアが大切。短吻種のため、暑さや寒さにも弱い。
食欲旺盛で肥満になりやすい犬種のため、適度な運動と食事の量には特に注意をしてください。
★バグの理想体重/6〜8kg 平均寿命/12〜15歳
首の椎間板ヘルニアやてんかん発作、尿石症など。胴長体型なので、階段の上り下りで関節や背骨を傷めないように体重管理には充分注意が必要です。高いところからの飛び降りには注意してあげましょう。
利口で活発な性格です。肥満が病気の原因になりますから、食事と運動不足にならないように適度な運動を心がけましょう。
★ウェルシュ・コーギーの理想体重/10〜12kg 平均寿命/12〜14歳
日本犬は欧米のように用途を考えた改良をしなかったため先天性の異常はほとんどないとされています。
まれに膝蓋骨脱臼やブドウ膜皮膚炎症候群などが見られます。室内で飼う場合は、滑らないようにコルクマットなどを敷くことで脱臼などの予防になります。
丈夫な体質と忠実な性格は家庭犬にぴったりです。
日本の風土によくあい、無駄吠えしないので飼いやすい。
★柴犬の理想体重/6.8〜11kg 平均寿命/12〜15歳
股関節やひじ関節の形成不全といった関節の異常が多く見られます。室内で飼う場合は、クッション性のあるコルクマットなどを敷くことで関節を衝撃から守ってくれます。白内障や進行性網膜萎縮といった目の病気にもかかりやすいといわれています。また、肥満になりやすい犬種で、股関節や脚部の形成不全を悪化させるだけでなく、糖尿病などの原因となることもあため食事には注意が必要です。
★ゴールデン・レトリーバーの理想体重/27〜37kg 平均寿命/10〜12歳
高い確率で白内障が発生するほか、股関節や肩関節の形成不全、糖尿病、甲状腺機能低下症、皮膚ガンなどにもなりやすい犬種とされています。筋ジストロフィーは特徴的な遺伝性疾患といわれています。
盲導犬の代表的な犬種で、知能が高く、もの覚えがよく抜群の嗅覚を備えています。特別な手入れはいらず比較的楽に飼うことができます。
ラブラドール・レトリーバーは食欲旺盛な犬種で、運動不足や退屈は肥満の原因となります。この肥満が股関節や脚部の形成不全を悪化させるだけでなく、糖尿病などの原因となることもあるので、食事と運動量に気をつけて理想体重を維持しましょう。
★ラブラドール・レトリーバーの理想体重/27〜31kg 平均寿命/10〜13年
犬特有の病気や遺伝はワンちゃんを飼いはじめる時に調べておくといいですね。
分からないことは獣医さんにたずねると安心です。
信頼の行ける動物病院を見つけておくことをおススメします。