愛犬は寒さに強いですか?それとも弱いですか?
冬にかかりやすい病気と予防策
犬はもともと寒さに強い動物でした。「♪犬は喜び庭かけまわり、ネコはこたつでまるくなる♪〜」の歌のように寒い地域が原産地の犬種は、寒さに強く雪の中でも楽しそうに走りまわっています。しかし、室内で人と一緒に生活をはじめてから、寒さに弱い寒がりの犬が増えてきています。
寒い季節に体調を崩しやすくなるのは、私たちと同じです。犬は寒さによる体温の低下で、人よりも強く心身共にストレスを感じます。
ブルブルと震えていたり、寒がって散歩をいやがったり、コタツやヒーターの前から離れなかったりという行動は、犬にとって寒すぎるということです。
冬を元気に快適に過ごしてもらうために注意したい病気や日常のケア方法をご紹介します。
犬には、インフルエンザはありませんが、呼吸器官系の病気、気管支炎や肺炎、喉頭炎などにかかります。
冬は気温の低下や空気の乾燥によって、鼻やノドの粘膜のバリア機能が低下して、細菌やウイルスに感染してしまいます。熱があったり、鼻水がでたり、咳が続くなど人の風邪に似た症状を引き起こします。病気への抵抗力が十分でない、子犬や高齢犬は特に注意が必要です。
温度差10℃前後の急激な温度変化で、犬は体にダメージを受けます。この急激な温度変化は、人間と同じように血管の収縮による血圧に異常をきたしすため、心臓の疾患を持っている犬は脳梗塞や心筋梗塞を起こすことがあります。慢性的な疾患を持っている犬には、温度管理には細かな配慮が必要です。
ペットと快適に暮らす室内は、温度25℃前後、湿度50〜60%です。年齢によって適温に違いがあって、成犬は18〜22℃、子犬は22〜24℃、高齢犬や病気の犬の場合は23〜28℃が目安とされています。
心臓に疾患がある場合は、体を温めすぎると呼吸の回数が増え、心臓に負担がかかりますから、震えずにいられる室温が適温となります。関節痛などの症状のある場合は、温めると痛みが緩和されることもあるため、愛犬の体の状態に合わせて温度を設定しましょう。
初めて冬を迎える子犬は、寒さに免疫がありませんから、特に気をつけてあげましょう。
ノミ・ダニは春から夏の季節だけ気をつければいいと思われがちですが、室内で飼うことが一般的になった今は、いつまで予防すれば確実に駆除できるといった目安はありません。
ノミ・ダニは気温13℃以上、湿度50%以上で繁殖します。つまり、エアコンで快適に生活している室内では、犬の周囲で卵やさなぎの状態でひそんでいる越冬する場合があります。ですからノミ・ダニは一年中繁殖の可能性があるために、完全に根絶させるのは無理です。しかも、人にも被害を及ぼすこともあるので、通年予防した方が安心でしょう。
一方、マダニは季節性があるので、冬は心配なさそうです。
フィラリアの予防は、寒くなって蚊がいなくなっても1〜2ヶ月は薬を忘れないでください。フィラリアの薬は、予防ではなく駆虫薬ですから。「犬のフィラリア予防は蚊がいなくなっても必要です」でフィラリアの原因と予防を詳しくご紹介しています。
高齢犬の中には、四肢の関節が痛んで神経痛のような症状を起こすこともあります。厚手のコルクマットや毛布などで寒さを防ぎましょう。
シングルコートの犬、子犬、病犬も、寒さに対する抵抗力が弱くなっていますから、寒さ対策をお忘れなく!
昔は、冬には体温維持のためにエネルギーの高いものを与えることが常識でしたが、暖かい室内で飼われる室内犬は、体温維持のために高カロリーの食事を与える必要はなくなってきました。それは、寒いので散歩もついつい短縮してしまったり、暖房の効いた室内で飼われることで、寒さのための体温維持のエネルギー消費も必要なくなり、油断するとかえって冬太りしてしまいます。ただし、屋外犬には、寒さに耐えるためのエネルギーが必要なため、腹持ちのよい脂肪の多い食事を与えましょう。
もうひとつ、寒いからアツアツの食事を与えては行けません。熱すぎるものは胃腸カタルなどのもと。いつも適当なあたたかさを心がけてください。
寒くなると犬よりも人間のほうが外出がおっくになりますが、犬には寒くても適度な運動になる散歩は大切です。
その際、室内と室外との極端な温度差は、犬の体には大きな負担となるので、できるだけ暖かい時間帯に散歩に出かけましょう。寒がりの犬には、服で防寒対策をお忘れなく!
野生に生きていた頃と違って、今の犬には無理じいは禁物。高齢犬や心臓の疾患のある犬などは、ムリに寒い日に散歩に行く必要なありません。
トイレを屋外や散歩の時に済ませる習慣の犬は、雪が降る様な寒い日でも外に出ないとオシッコをしません。そのため、オシッコを辛抱して腎臓や膀胱、尿道の病気にかかる心配があります。寒い日に、トイレのために外に出ることは、犬にも飼い主にもストレスと負担が大きくなります。
そして、子犬の時から外でしかオシッコをしない犬は、高齢犬になって足腰が立たなくなって介護が必要になっても、外でしかオシッコをしなくなります。
ですから、飼い主の負担を考えると室内犬は、できるだけ室内でトイレをする習慣をつけることが大切です。
季節に関係なく、マナーや健康管理の面からもトイレは室内でする習慣をつけましょう。排泄物の色や量、ニオイなど私たちと同じで犬の体調が一目でわかります。犬も病気は早期発見、早期治療がいいに決まっています。成犬になってから急に、変更することは大変ですから、子犬の時から室内でトイレをする習慣をつけましょう。
室内犬には暖房も必要です。留守番をさせる時には、ペット用カーペットなど長時間、直接体を密着させていると低温やけどを負ったり、暖房器具のコードをかじってしまったり、引っ掛けてしまう暖房器具の事故に注意が必要です。
一緒にそばにいられないときや、なんでもおもちゃにしてしまういたずら盛りの子犬がいる場合は、特に気をつけましょう。
関節の疾患を患っている犬にとって、床からの冷気はとてもつらいものです。あたたかくすることで痛みもやわらぎますから、厚手のコルクマットなどを敷いて床からの冷気を遮断しましょう。ペット用カーペットなどを使用することも有効ですが、動けない犬の場合は低温やけどなどの心配があるので、厚手の毛布などでゲージを包んだり、体のまわりに毛布を置いて保温効果を高めましょう。