愛犬が老犬になって介護が必要になる前に
これだけはやっておきたいこと!
一般に犬の体の大きさや犬種、個体によっても違いがありますが、7才頃からシニア期といわれしぐさや見た目に変化があらわれてきます。シニア期は愛犬との関係が成熟し、おだやかに平和に過ごせる一方で病気になったり今までと同じ生活に不具合が出てくるときです。そして、人間と同じように寝たきりや痴ほうになり、私たちの介護がないと生きていけません。そうなってからでは遅いのでその前にやっておきたいことがあるのです。
老犬になってから新しいことを覚えたり、新しい環境になれることは愛犬にとっては大変なことです。できるだけは早くから取り組むことで、愛犬が長く健康で過ごせることに役立ち、そして、介護をする私たちにとっても負担が軽減されるのです。

犬の老化は個体差がありますが、小型犬→11〜13才、中型犬→10〜12才、大型犬→8〜9才、超大型犬→7〜8才といわれています。
高齢期になると下を向いてゆっくり歩いたり、段差を避けたりと少しずつしぐさや見た目に変化があらわれてきます。
トイレのために外に連れて行く習慣のある犬は、高齢で頻尿になったり介護が必要になったときでも外に出ないとトイレができなくなっています。お天気のいい日ばかりではありません。雨の日もあれば寒い日や暑い日もあります。そんなとき、頻繁にトイレのために外につれて出ることは飼い主にとってもストレスと負担が大きくなります。
毎日のオシッコ、ウンチの回数や量、色をチェックすることで、愛犬の体調の変化に素早く気づくことができます。ですから、外でトイレをすることが習慣となっている犬は、元気なうちに室内でもトイレができる訓練を始めましょう。
若いころは問題無かった生活環境が、シニアになると視力の低下や足腰の関節が弱ってくるために今まで通りの生活ができなくなってしまいます。物にぶつかったりフローリングの床で滑って転ぶことが増えてケガをすることがあります。「あぁ、危ない!!」と思うことがあったら、危ないものを取り除いたり予防策などで生活環境を見直し、ストレスなく今までの生活がおくれる工夫をしましょう。
床にマットを敷く
足腰が弱った犬は、踏ん張りが利かなくなって滑ってころんで骨折したりする危険があります。床に厚みのあるコルクマットなどを敷くことで、転倒してもマットがクッションとなり衝撃を吸収してくれるのでケガの心配がなくなります。
家具の角に緩衝材をつける
犬は視力があまりよくありません。年を重ねると人間と同じように白内障になる犬も多くなってきます。テーブルやタンスの角に緩衝材をつけてぶつかったときの衝撃をやわらげる工夫をしましょう。
隙間をなくす
犬も痴ほうが始まると、前進はできますが、後退できなくなります。狭い隙間があるとそこに頭から突っ込んで身動きが取れなくなります。狭い隙間がある場合は家具の配置を工夫して犬が入り込めないようにしましょう。
先代の柴犬のベンは痴ほうで「そこに頭を突っ込むの~」という隙間で、後退することなく前進あるのみで足踏みしていました。犬種によって老いの症状が違いますが、柴犬など痴ほうが出やすい犬種は特に気をつけてあげましょう。
段差をなくす
今まで行けたところに行けないということは犬にとってはストレスとなります。ソファや階段に上がれなくなってきたら、段差があるところにスロープをつけるなどの工夫をしましょう。
犬の脳も使わなければ衰えていきます。脳への刺激は今までの日常生活の中に取り入れましょう。
散歩に行く
犬は散歩が大好き。外を歩くことで多くの刺激を受け、体を動かすことで筋肉や関節を鍛える効果もあります。犬のペースに合わせてゆっくり、心地の良い時間に散歩で刺激をあたましょう。
しつけで刺激
「おすわり」「まて」などの今までのしつけの中で、指示通り体をうごかすことが脳への刺激になります。これなら気軽に続けていくことができますね。
食事に変化を
犬は食べることが大好きですから、週に1〜2回程度、フードでない美味しいものを与えることも刺激になります。
6〜7才から以前に比べて運動量が少なくなって、愛犬が太ってきたら、低カロリーで低タンパク・低脂肪のものを中心に、胃の負担が少ない消化の良いものを与えましょう。また、頭を下げて首を曲げたまま食べる姿勢はシニア犬にはつらいもの。愛犬が食べやすい位置になるように、台を置くなどして高さを調整しましょう。
年をとるにつれて犬も人と同じように病気になりやすくなります。若くて元気なときから愛犬の健康状態が分かっている動物病院があることは、経過を見守ってもらえるので安心です。元気なときから年に1回の定期健康診断を受けることで病気の予防や早期発見にもつながります。
シニアになれば、体のあちこちに不具合がでてくるため病院へ行く回数も増えてきます。大病にかかったり視力や足腰が弱って転倒や骨折などのケガや事故が増えてしまいます。そこで、ペット保険に入っているとお金の心配をすること無く治療を受けさせることができます。しかし、ペット保険にはそもそも加入可能な年齢があり、この条件をクリアしないと加入はできません。0歳から10歳程度までが一般的ですが、12歳や13歳でも加入できるものもあります。
病気をしてからはペット保険に入れないこともあるので、元気なうちにペット保険についても調べておきましょう。
犬は人間よりも見た目の老化が分かりにくいとはいえ、寝ている時間が多くなったり、黒い毛に白い毛が増えてきたりと、着実に老化が進んでいます。
10年以上も一緒に生活をしている中で、やんちゃをして困らせたり、何気ないしぐさで和ませてくれたり、楽しませてくれたのですから介護の大変さもちょっとした工夫で快適に過ごせるようにしたいものです。
高齢になった今だから、気持ちも通じ合い愛犬がいちばんかわいいのかもしれませんね。
この時間が少しでも長く続きますように。